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第2回読者プレゼント当選者 ハワイ旅行記

10月16日

■もしかして誘拐!?

私たち親子はアクティブだと、よく驚かれます。ホテルのカウンターで「止めた方がいい」と言われたにも関わらず、車で1時間ほどかかるホテルからコナまでの道のりを、私は原付きバイク、母はマウンテンバイクで向かうことにしました。バイクはキングス・ショップにあるお店でレンタルできました。

この日は母とは別行動。あまり海外に慣れていない母のことが心配で、「知らない人に付いていかないでね」「何かあったらすぐ連絡してね」と何度も言って母と別れました。朝4時半にホテルの部屋を出発し、私はドルフィン・ウォッチングツアーに参加するため(母は泳げないので断念)、集合場所であるケアウホウビーチを目指しました。

ハワイ島の道路は街灯が全くないため、自分のバイクのライトだけを頼りに走りました。満天の星空の中、バイクで走るのはとても気持ちが良く、最高の気分♪ 1時間半ほどでケアウホウビーチに到着しました。時刻は午前6時。集合時間まで余裕があるので、近くのカフェで一休みしました。

一方、母はマウンテンバイクで4時間かけて、コナの街へ。お目当てはコナ・ブリューイング・カンパニーというビール工場です。ハワイ島はアイアンマンというトライアスロン・レースの開催地ということもあり、気合い十分で出かけていきました。

日頃からアウトドアをやっている母ですが、さすがに街灯のない真っ暗な道を走るのは怖かったよう。途中、スプリンクラーに気づかず、びしょ濡れになったことも今では笑い話です。

母はコナに到着した直後、後ろからロードバイクでやってきた男性に声をかけられました。当時、まさかこの出会いが、私たちの旅を大きく変えるなんて、思いもしませんでした。

その頃、私は集合時間になり、船に乗り込み、いざ出発。イルカは水族館でしか見たことがないので、野性のイルカに会えるなんて、ずっと楽しみにしていました。イルカは好奇心旺盛で、群れをなして同じ場所を泳いでいるので、99%の確率で出会えるとのこと。

シュノーケルとフィンを貸していただき、準備はバッチリ。「さぁ、いつでも来い!」とこちらも気合いを入れました。港を出発すること5分、さっそくイルカの群れに会えました。船長の「GO!」の合図で海へ飛び込みます。海面に顔をつけるとビックリ。自分の真下を、4頭のイルカが気持ち良さそうに泳いでいるではないですか。イルカとは不思議な生き物で、人間の気持ちを感じとることができるらしいのです。楽しい気持ちでハッピーオーラを出している人の近くにやってきてくれるそうです。

海の中にいると、どこからともなく聞こえてくるイルカの鳴き声。辺りを見渡すと、今度は6~7頭のイルカの群れが目の前を横切りました。小さな子供イルカもいて、とても可愛らしい光景に優しい気持ちになることができました。「イルカと一緒に泳ぐことって、なんて心地が良いのだろう」と、さっそくその魅力に惹かれました。

しばらくイルカを追いかけて一緒に泳いだあと、ボートでほかの場所に移動。今度はクジラの群れが現れ、ホエール・ウォッチング。ボートの上では、フルーツやクッキーなどのお菓子を食べて休憩をしました。最後にシュノーケルポイントのケアラケクアビーチに移動して、シュノーケル。ケアラケクアビーチは透明感が高く、遠くの方まで透き通っているので、赤や黄色、青色などカラフルな魚を見ることができました。

盛り沢山のツアーもお昼には終了。船長に別れを告げ、母と午後2時に待ち合わせをしていたので、再びコナの街へ移動しました。

一方、先ほどの男性に「どこへ行きますか?」と聞かれた母は、地図で位置を指さすと、案内してくれるとのこと。男性の名はゲイリー。二人でマウンテンバイクをこぎ、お目当てのコナ・ブリューイング・カンパニーへ到着。お礼を告げ、中に入ろうとすると、「一緒にビール工場に行きたい」とゲイリー。ビール工場の見学を終え、工場内のレストランでランチまでご馳走していただき、とても親切にしてもらった母。英語が話せない母と、日本語が分からないゲイリーは、近くにあったホテルの日本語カウンターの方に通訳していただいたり、一生懸命に単語を並べたり、ジェスチャーをしてコミュニケーションを取っていたようです。不思議なことに言葉が通じなくても、「伝えたい」という思いがあれば、心が通じ合うこともある素晴らしい体験をさせていただいたようです。

ビール工場の見学を終え、私との待ち合わせまで時間があったため、母はゲイリーの牧場を案内してもらうことになりました。「遠くの方が見えないくらい広い敷地に、畑があって、動物がたくさんいたんだよ」と、あとで嬉そうに話してくれた母。

そんな母のことなど知ることもなく、私は予定よりも待ち合わせ場所に早く着き、母からの電話で衝撃の一言を聞くことになりました。「いま、お母さん、ゲイリーって人の車に乗って向かってるよ」。その瞬間、いろいろな言葉が頭を過りました。「誘拐!?」「もしかして新手の詐欺?」「お母さぁぁぁぁんっっ!」

「知らない人に付いて行ったらダメだって言ったでしょ!」。小さい頃、母に言われた台詞をいま、そのまま返したい気持ちでした。

そんな私の心配をよそに、真っ赤な車から笑顔で手を振り現れた母。「お母さん、大丈夫? 騙されてるんじゃない?」。目を丸くする私に、ゲイリーが自己紹介。初めは疑いの目で見ていたのですが、同じアウトドアの趣味を持ち、母とすっかり仲良しな様子。「おや?」。話してみると、とても悪い人には見えない。それどころか、疲れ果て、「もうマウンテンバイクで帰りたくない」という母を車で送ってくれると言う、とても良い人だったのです。すっかり私もゲイリーの人柄を信頼し、ディナーに招待してもらう約束までしてしまいました。そして、私はまた母と別れ、コナ・イン・ショッピング・ビレッジやコスコ(日本ではコストコ)などコナの街を探検。

待ち合わせの午後6時に合わせて、ホテルに戻りました。ホテルのロビーで待ち合わせをして、ゲイリーの赤い車に乗り込みました。レストランを予約してくれていたらしく、食事をしながら、たくさんの話を楽しみました。

二人の娘さんがいるゲイリーは、温かくて優しいとっても良いお父さん。牧場の写真を見せてもらい、「この島に来るときは、いつでも遊びにおいで」と、私に“ハワイ島のお父さん”ができたのです。

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ヒルトン・ワイコロア・ビレッジ

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■もしかして誘拐!?

私たち親子はアクティブだと、よく驚かれます。ホテルのカウンターで「止めた方がいい」と言われたにも関わらず、車で1時間ほどかかるホテルからコナまでの道のりを、私は原付きバイク、母はマウンテンバイクで向かうことにしました。バイクはキングス・ショップにあるお店でレンタルできました。

この日は母とは別行動。あまり海外に慣れていない母のことが心配で、「知らない人に付いていかないでね」「何かあったらすぐ連絡してね」と何度も言って母と別れました。朝4時半にホテルの部屋を出発し、私はドルフィン・ウォッチングツアーに参加するため(母は泳げないので断念)、集合場所であるケアウホウビーチを目指しました。

ハワイ島の道路は街灯が全くないため、自分のバイクのライトだけを頼りに走りました。満天の星空の中、バイクで走るのはとても気持ちが良く、最高の気分♪ 1時間半ほどでケアウホウビーチに到着しました。時刻は午前6時。集合時間まで余裕があるので、近くのカフェで一休みしました。

一方、母はマウンテンバイクで4時間かけて、コナの街へ。お目当てはコナ・ブリューイング・カンパニーというビール工場です。ハワイ島はアイアンマンというトライアスロン・レースの開催地ということもあり、気合い十分で出かけていきました。

日頃からアウトドアをやっている母ですが、さすがに街灯のない真っ暗な道を走るのは怖かったよう。途中、スプリンクラーに気づかず、びしょ濡れになったことも今では笑い話です。

母はコナに到着した直後、後ろからロードバイクでやってきた男性に声をかけられました。当時、まさかこの出会いが、私たちの旅を大きく変えるなんて、思いもしませんでした。

その頃、私は集合時間になり、船に乗り込み、いざ出発。イルカは水族館でしか見たことがないので、野性のイルカに会えるなんて、ずっと楽しみにしていました。イルカは好奇心旺盛で、群れをなして同じ場所を泳いでいるので、99%の確率で出会えるとのこと。

シュノーケルとフィンを貸していただき、準備はバッチリ。「さぁ、いつでも来い!」とこちらも気合いを入れました。港を出発すること5分、さっそくイルカの群れに会えました。船長の「GO!」の合図で海へ飛び込みます。海面に顔をつけるとビックリ。自分の真下を、4頭のイルカが気持ち良さそうに泳いでいるではないですか。イルカとは不思議な生き物で、人間の気持ちを感じとることができるらしいのです。楽しい気持ちでハッピーオーラを出している人の近くにやってきてくれるそうです。

海の中にいると、どこからともなく聞こえてくるイルカの鳴き声。辺りを見渡すと、今度は6~7頭のイルカの群れが目の前を横切りました。小さな子供イルカもいて、とても可愛らしい光景に優しい気持ちになることができました。「イルカと一緒に泳ぐことって、なんて心地が良いのだろう」と、さっそくその魅力に惹かれました。

しばらくイルカを追いかけて一緒に泳いだあと、ボートでほかの場所に移動。今度はクジラの群れが現れ、ホエール・ウォッチング。ボートの上では、フルーツやクッキーなどのお菓子を食べて休憩をしました。最後にシュノーケルポイントのケアラケクアビーチに移動して、シュノーケル。ケアラケクアビーチは透明感が高く、遠くの方まで透き通っているので、赤や黄色、青色などカラフルな魚を見ることができました。

盛り沢山のツアーもお昼には終了。船長に別れを告げ、母と午後2時に待ち合わせをしていたので、再びコナの街へ移動しました。

一方、先ほどの男性に「どこへ行きますか?」と聞かれた母は、地図で位置を指さすと、案内してくれるとのこと。男性の名はゲイリー。二人でマウンテンバイクをこぎ、お目当てのコナ・ブリューイング・カンパニーへ到着。お礼を告げ、中に入ろうとすると、「一緒にビール工場に行きたい」とゲイリー。ビール工場の見学を終え、工場内のレストランでランチまでご馳走していただき、とても親切にしてもらった母。英語が話せない母と、日本語が分からないゲイリーは、近くにあったホテルの日本語カウンターの方に通訳していただいたり、一生懸命に単語を並べたり、ジェスチャーをしてコミュニケーションを取っていたようです。不思議なことに言葉が通じなくても、「伝えたい」という思いがあれば、心が通じ合うこともある素晴らしい体験をさせていただいたようです。

ビール工場の見学を終え、私との待ち合わせまで時間があったため、母はゲイリーの牧場を案内してもらうことになりました。「遠くの方が見えないくらい広い敷地に、畑があって、動物がたくさんいたんだよ」と、あとで嬉そうに話してくれた母。

そんな母のことなど知ることもなく、私は予定よりも待ち合わせ場所に早く着き、母からの電話で衝撃の一言を聞くことになりました。「いま、お母さん、ゲイリーって人の車に乗って向かってるよ」。その瞬間、いろいろな言葉が頭を過りました。「誘拐!?」「もしかして新手の詐欺?」「お母さぁぁぁぁんっっ!」

「知らない人に付いて行ったらダメだって言ったでしょ!」。小さい頃、母に言われた台詞をいま、そのまま返したい気持ちでした。

そんな私の心配をよそに、真っ赤な車から笑顔で手を振り現れた母。「お母さん、大丈夫? 騙されてるんじゃない?」。目を丸くする私に、ゲイリーが自己紹介。初めは疑いの目で見ていたのですが、同じアウトドアの趣味を持ち、母とすっかり仲良しな様子。「おや?」。話してみると、とても悪い人には見えない。それどころか、疲れ果て、「もうマウンテンバイクで帰りたくない」という母を車で送ってくれると言う、とても良い人だったのです。すっかり私もゲイリーの人柄を信頼し、ディナーに招待してもらう約束までしてしまいました。そして、私はまた母と別れ、コナ・イン・ショッピング・ビレッジやコスコ(日本ではコストコ)などコナの街を探検。

待ち合わせの午後6時に合わせて、ホテルに戻りました。ホテルのロビーで待ち合わせをして、ゲイリーの赤い車に乗り込みました。レストランを予約してくれていたらしく、食事をしながら、たくさんの話を楽しみました。

二人の娘さんがいるゲイリーは、温かくて優しいとっても良いお父さん。牧場の写真を見せてもらい、「この島に来るときは、いつでも遊びにおいで」と、私に“ハワイ島のお父さん”ができたのです。

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