Northに滞在中のある日、Waikikiに来なければならなくなり、
夕方、暗くなる前にKalakaua Ave.の裏の露天パーキングに車を駐め、
ふと空を見上げると、黄金色に染まった雲が静かに流れていた。
たった1本裏に入っただけの場所なのに、空が広い。
表通りの騒音は、なんとなく懐かしい華やいだものと化し、
遠くから微かに聞こえる心地良いBGMのようだ。
上空の雲の合い間の蒼色は、既に夜の衣を纏い始め、
スパンコールのような星の瞬きが、間もなく現れる兆しを孕んでいた。
大都会にいると、夜が始まる頃にいつも脳裏で奏でられるのが、
若かった頃に繰り返し聴き入っていた
1960年代のテナーサックスの巨星、デクスター・ゴードンが奏でる
スタンダードジャズの名曲、
「Stairway to the stars」(邦題「星へのきざはし」)だ。
ハワイでは、HONOLULUだけが唯一ソフィスティケイトされた街だから、
ジャズだって無理なくフィットしてしまうのだと思う。
どれくらいの間、空をボーッと眺めては
時々シャッターを切っていたのだろう。
後で撮ったカットをチェックしたら、同じ雲の形は1つも無かった。
日本に帰る前夜になるといつも陥ってしまう
なんとなくセンチな気分にぴったりの夕空だったなぁ。
〈Blog from “LINO MAKANI” 〉