■購入した米オラクルCEOが初めて夢語る■
今年6月にハワイで6番目に大きいラナイ島を購入した米ソフトウエア大手「オラクル」のラリー・エリソン最高経営責任者(CEO)が、企業活動を環境、経済、社会の3つの面から捉え、「私はハワイを愛していて、ラナイは非常に興味深いプロジェクトだ。私たちがしようとしているのは、ラナイを持続可能な事業のモデルに変えることだ」と、ラナイ島購入目的について初めて語ったことが7日までに分かった。
エリソン氏は、かつて世界のパイナップル産地として生産量の75%を占めた「ラナイ島」の土地98%(面積約365平方km)を今年6月、大富豪のデービッド・マードック氏率いるドール・フード・カンパニー社から購入した。金額は公表されていないが、購入した土地には、2つのリゾートとゴルフコースのほか、さまざまな商業施設や居住施設、かつてパイナップル畑だった広大な未開発地がある。
保有することになった島の水道事業では、海水を淡水化する計画も持ち上がっている。細流かんがいを作って島全体に有機農場を広げ、そこで育てたフルーツなどを日本などに輸出する、との構想もあるそうだ。約3000人の住民がこうした事業に参加できるよう支援する計画や電気自動車を導入する計画も明らかにしている。
一方、ハワイは土地代、人件費、水代が高く、農業競争力を維持するには厳しい環境に直面していることも事実だ。エリソン氏が描く壮大なプロジェクトを事業化し、成功するには、今後も資金を出し続けなければならないとの声も強い。ただ、この構想は、世界中の島の持続可能性を試す良いモデルケースで、将来、日本向けフルーツ輸出の一大拠点になるかもしれない、と早くも多くの期待を集めている。