「すばる望遠鏡」がハワイ島北西部沖地震で故障
今月は調査や修理のため一般見学や観測は中止
ハワイ島北西部沖で現地時間15日午前7時過ぎ起きたマグニチュード6・7の地震の影響で、国立天文台(東京・三鷹市)がマウナケア山頂(標高約4200m)に設置する「すばる望遠鏡」の支柱がずれていることが明らかになりました。望遠鏡本体や直径8.3m(厚さ20cm)という世界一の巨大な主鏡には今のところ損傷は確認されていないようですが、調査や修理のため、少なくとも10月末までは運用を中止することになり、今月中の一般見学も中止に決まりました。
同天文台ハワイ観測所の話では、地震の直後から、すばる望遠鏡の被害状況の調査を実施。目視検査では望遠鏡本体や主鏡に外見上の損傷は見つからず、望遠鏡を格納するドーム施設にも大きな損害は見られないことは確認されています。
しかし、すばる望遠鏡は円形状に敷設されたレールの上を、星の動きに合わせて回り、角度も自動調節する仕組みになっています。このレールの中心にある鉄製の支柱が今回の地震で北側へ約1mmずれ、このままでは望遠鏡の駆動精度が十分に達成できず、正確な観測ができない恐れがあることが分かりました。ハワイ観測所では10月末までに支柱を元の位置に戻して、固定する予定だそうです。この間、計画されていた天体観測や一般見学は中止されることになりました。
すばる望遠鏡には最先端の技術が多数使われており、コンピュータで制御された約260本のロボットアーム(アクチュエーター)で主鏡を傾けた時にできる歪を補正することで、主鏡は常に理想的な形に保たれるようになっています。また、建物自体の形状にも工夫を凝らして乱流を防ぎ、星像の悪化を防ぐように施されています。
なお、震源地に近いマウナケア山頂にある各国の天文台でも、施設に影響が出ている模様だそうです。