世界最大の望遠鏡「TMT」建設許可が無効
■ハワイ州最高裁が2日決定下す■
約1500億円(円換算)をかけて、生命体が棲む第2の地球などを観測する世界最大の光学赤外線望遠鏡「TMT」をハワイ島マウナケア山頂に建設する計画について、ハワイ州最高裁は昨2日、建設許可を無効にする決定を下した。建設予定地を「神聖な山」と考えるネイティブハワイアンなど反対派の抗議行動で建設は中止されていたが、当初の計画だった2021年の稼働は大幅に遅れそうだ。
州最高裁の決定などによると、TMTプロジェクト(Thirty Meter Telescope)の建設を許可したハワイ州土地天然資源局が、反対意見がある場合は事前に公聴会を開くべきだったが、実際には許可後に開催されたことなどで、手続きの不備が理由で許可無効の判断につながった、という。
建設が予定されている「TMT」は、米国、日本、カナダ、中国、インドが計画を進めている。口径30mの次世代超大型天体望遠鏡で、現在運用中の望遠鏡の性能を大きく上回り、太陽系外で生命が存在しそうな惑星を探すほか、誕生間もない宇宙や宇宙の初期段階で誕生した銀河の正体に迫ることが期待されている。
ただ、TMTの建設予定地がハワイ先住民にとって「聖地」とされている場所であり、これまでに山頂付近で行われた抗議活動には何百人もの人々が参加。本格工事の着工後も、反対住民らの抗議活動で作業が中止。逮捕者も出る騒ぎになっていた。
関係者らは、裁判所が地元の世論などを配慮した決定かもしれないが、建設許可について、改めて再申請されると思う。ただ、その後の手続きにどれくらい時間がかかるか不明で、研究者の間には観測開始の遅れを懸念する声もある。