■米大統領が生態系保護のため設定■
ハワイ諸島の南西に広がる太平洋に、世界最大級の「海洋保護区」を設定した、と米政府が24日発表した。これまでの保護区を約6倍に拡大し、日本の面積の約3・4倍にあたる海域を新たに保護区に指定。地球温暖化の影響による海の酸性化や海面上昇に備え、ウミガメやクジラ、貴重なサンゴ礁などの生態系が残る海域を保護する。
米政府は、太平洋・ハワイ諸島沖の海域を世界一広大な海洋保護区に指定するべきか否かを、世界中からパブリックコメントを募集していた。ところが、強力な影響力を持つ現地の漁業ロビーが、この計画を骨抜きにしようと画策し、オバマ大統領もその圧力にさらされていた、という。
海洋学者らは、年々減少する海洋資源や動物の宝庫とされる海を本格的に守る最善の策は、「海洋生物を取り戻すためには、広大な区域を禁漁区にすることだ」と口を揃えていた。米政府は、今回の保護区について、「世界で最も手つかずの熱帯海洋環境の一つ」とし、オバマ大統領が最終的に、保護区拡大を命ずる大統領宣言に署名した。
ハワイ沖にあるウェーク島など4離島と3環礁などからなる現在の保護区(延べ約23万平方㎞)を拡大。新たに周辺の127万平方㎞を指定した。海洋生物の乱獲を防ぐため、この保護区域内では、商業目的の漁業や海底資源の開発、ゴミ投棄などが禁止される。例外的に、レジャー目的や伝統的な手法による釣りなどは認める方針だ。
今回の海洋保護区は、ハワイと日本の間に、メキシコの領土くらいの面積を占めている。