■ 米海軍が旧ソ連への技術流出恐れ破壊■
旧日本軍の巨大潜水艦「伊400型」の残骸が、オアフ島南西沖の深さ約700mの海底に沈んでいるのを、ハワイ大学海洋調査研究所の有人潜水艇が3日までに発見した。第二次世界大戦後の1946年、米国と旧ソ連の緊張が高まる中、伊400型の先進的な技術が旧ソ連海軍に流出するのを恐れた米海軍が沈めたもの。今年8月に見つかっていたが、米国務省と日本政府が精査後に発表。オアフ島沖では、2005年にも別の潜水艦が見つかっている。
今回見つかったのは、終戦時に米海軍が拿捕(だほ)した日本の潜水艦5隻の中の1隻で、魚雷による損傷が一部に見られた。調査のためハワイの真珠湾に移送され、「潜特型」と呼ばれた、この伊400型潜水艦は全長約122m。姉妹艦2隻と合わせ、当時、世界最大の潜水艦だった。
当時、すでに燃料補給を行わずに地球を1周半連続航行できる能力を保持。旧日本軍は、米本土や当時米国が管理していたパナマ運河などへの攻撃も計画していた、という。最大で約800kgの爆弾を搭載できる翼折り畳み式の水上爆撃機3機を格納でき、事実上、潜水母艦としての性能を誇っていた。最終的に米本土攻撃には航行せず、限定的に参戦しただけで、1945年に終戦となった。
同海洋調査研究所の関係者によると、伊400型潜水艦の斬新な設計と能力は、それまで対艦兵器としかみなされていなかった潜水艦の用途を一変させるものだった、という。原子力潜水艦が建造されるまでは世界最大級だった「伊400」。第二次世界大戦後の潜水艦は、この方向で実験と設計の変更が行われ、核の時代の弾道ミサイル発射能力を持つ米軍潜水艦に進化していった。