■新カメラでアンドロメダ銀河の姿公開■

　世界トップクラスの性能で知られるハワイ島の「すばる望遠鏡」の巨大カメラが交換され、大幅に性能がアップしたと7月31日、公表された。広い視野が特長のすばる望遠鏡だが、さらに7倍近く拡大。一度に観測できる範囲は同クラスの望遠鏡では世界最大で、今回のカメラ交換は1999年の観測開始から初めて。

　新たに搭載された巨大デジタルカメラは、全長3m、重さ3トンの8億7000万画素を誇る。8000万画素の旧カメラでは満月よりやや大きい範囲が観測できたが、新カメラは満月9個分の広さを撮影できる。昨年8月、天体の光を集める主鏡から約15m上に新カメラを設置。遠方にあるかすかな天体の光を観測できる高感度を実現していた。

　今回、開発・製造費に約56億円かけられた新カメラで撮影した初画像として、銀河の中でハワイから最も大きく見えるアンドロメダ銀河の姿を公開。従来は部分的に撮影して合成したが、ほぼ全体を一度に捉えることができた。画質もかなり鮮明で、一つひとつの星を判別できる、という。

　今後は広い視野を生かして、新カメラで過去に前例がない宇宙探査に乗り出し、最大の謎である暗黒物質や暗黒エネルギーの解明に挑戦する。数億個の銀河を精密に計測し、銀河の分布やわずかな形のゆがみを調べる。これで宇宙の大部分を占める、目に見えない暗黒物質や暗黒エネルギーの性質に迫ることが期待されている。