海鳥のヒナ11万羽が津波の犠牲
■ハワイ諸島の北西にあるミッドウェー環礁
日本では未曾有の被災状況が日ごとに膨れ上がる東日本大震災。それに比べたら、小さな命だったかもしれない。幸い、発生した津波がハワイに及ぼした大きな人的被害はなかった。その影で、ハワイ諸島の北西にあるミッドウェー環礁にある海鳥の繁殖地で、多くのヒナたちが犠牲になったことが23日までに分かった。
クロアシアホウドリなど21種類の海鳥約300万羽が巣を作り、繁殖する野生動物保護区。絶滅危惧種に指定されているハワイアンモンクアザラシやウミガメも生息する貴重な野生動物の宝庫でもあった。
そんな野鳥たちの巣がある3つの島は、環礁に守られる形になっていた。が、先の大地震による津波が4回にわたって押し寄せた。最大約1.5mの津波が環礁と1つの島を襲い、巣を破壊し、海に押し流してしまった。
当局の職員らが岩の隙間や瓦礫(がれき)で動けない野鳥たち約300羽を助けた。しかし、米・魚類野生生物局の調べでは、今回の津波や暴風雨の影響で、今年孵化(ふか)したアホウドリのヒナ約22%が犠牲に。コアホウドリとクロアシアホウドリはヒナ約11万羽と親鳥2000羽が死んだ、と推定されている。
同保護区では、穴を掘って巣を作るため、被害数は確認できていないシロハラミズナギドリも数千羽が死んだ可能性がある。今回の大震災で、たくさんのペットたちも犠牲になっている。16年前、阪神淡路大震災を経験した際、鎖に繋がれたまま息絶えた犬たちも取材でたくさん見た。そんな悲惨だった神戸の街は見事に復興した。東北や北関東だってきっと。米当局は、ハワイアンモンクアザラシやウミガメの被害についても調べている。