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トヨタ車のリコールでハワイのレンタカー業界にも影響

  • トヨタ車のリコールでハワイのレンタカー業界にも影響

カローラ、カムリなど一時トヨタ車が姿を消す

トヨタ自動車の大規模なリコール問題で、ハワイを含む米国のレンタカー市場が揺れている。ワイキキとホノルル空港に営業所を構えるダラーレンタカーでは21日までに、約80台あるレンタカーのうち約20%がトヨタ車で、「すでに貸し出し中の車は他の車種に乗り換えていただき、人気のカローラなどは修理中の約1週間は姿を消した」と振り返った。米国の全業界でみるとレンタカーの12台に1台が使用不可能となる見通しで、いまだに続くトヨタバッシングに「何となくTOYOTAに乗るのが怖い感じ」(米国人観光客)という安全神話が崩れることを恐れる声が出てきている。

ハワイのレンタカー各社は、リコールの影響について「それほど大規模ではなく、短期的に落ち着くのでは・・・」と話すが、全米規模でみるとレンタカーの供給は最大10万台ほど減少する見込みという。事態が収拾するまで、今後どれくらいの時間がかかるかも依然として不透明。そこで執拗に繰り返されるトヨタ叩きで浮上してきているのが、「トヨタ車に乗ることが危ないのでは、という不安が最も危険」という、あるレンタカー業界の関係者の言葉。実は、私もリコール対象車に乗っているが「もう無償修理に持って行きましたか?」という友人、知人ら周囲の声をよそに、「そのうち行けばいいかな」程度にしか思っていないし、幸い車には何ら不具合も起きてはいない。

米国トヨタは先月26日、アクセルに不具合が生じたことを理由に、カムリやカローラなど計8車種を対象に販売を中止。約230万台をリコールした。全世界規模でのリコール数は約800万台で、うち米国内は約500万台となるそうだ。このリコールで、約20億ドルの経費が発生するといわれている。

レンタカー各社のうち、エイビス・バジェット・グループでは、北米で展開する車両の7%に当たる2万台に影響。ハーツでは、2008年に購入した車両の約13%がトヨタ車で影響は無視できない。ナショナルやアラモを運営するエンタープライズ・ホールディングス社は、保有車両の約4%に当たるトヨタが一時貸し出しを中止したという。ハワイのあるレンタカー会社では、今回のトヨタ・リコール問題について「ファイヤーストーンのタイヤ650万個が2000年にリコールされ、フォード・エクスプローラーなど多数が回収された時よりも影響は大きいのでは」という声もある。

こういう情勢の中、バッシングが一転し、米国メディアにはトヨタ擁護の動きも相次いできた。先日、ニューヨーク・タイムズ紙は「トヨタ車を買う絶好の機会」と掲載。リコール問題で価格が下がり、消費者は値引きの恩恵を受けるのでは」と指摘した。ウォール・ストリート・ジャーナルは「根拠は乏しいが」と断りつつ、「経営破たんしたGMなどのリベンジ説、GM株を持つ米国政府の工作説、高まるオバマ批判を回避するスケープゴート説」を挙げている。

トヨタの工場があるケンタッキー、インディアナ、アラバマと建設予定地のミシシッピの4州知事が、米議会などに「トヨタ批判は不公平だ」などと連名で主張。トヨタは利益よりも安全を優先していると強調し、リコール問題に公平な議論を求めている。というのも、ニューヨーク・ポスト紙が「豊田社長は、日本社会が重大な局面で要求されるお辞儀より角度が足りなかった」というのに至っては、いかにも大衆紙らしいが、こうなると「さもありなん」と思えてくる。

ただ、これほど極端ではなくても、ラフード米運輸長官が一時「トヨタ車に乗るな」と口走るなど、相変わらずリコールへの風当たりは強い。ある業界関係者は「リコール自体は、米国では珍しいことではない。ただ、今回はトヨタ車を購入した消費者からの苦情に対し、当初、トヨタがドライバー側の問題だと説明したこと」が米国民の感情を逆なでしたようだ。その背景には、自動車産業を含む景気の低迷、失業率のアップなどが火に油を注ぐ結果になったのではとみている。今後、トヨタに対して集団訴訟も相次ぐと思われている。私のリコール対象車も早く修理してもらったほうがいいのかな? という不安が杞憂に終わってほしいと願っている。

 

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