ハワイ島の「すばる望遠鏡」が地球型惑星誕生の場を発見
第二の地球は? 地球外生物は? 夢は広がる
ハワイ島のマウナケア山頂(標高約4200m)に国立天文台(東京・三鷹市)が設置している「すばる望遠鏡」の近赤外線コロナグラフ・カメラCIAO(チャオ)などで観測した結果、地球に似た惑星が見つかる可能性のある天体を発見したことが18日までに明らかになりました。「FN Tau」(おうし座FN星)と呼ばれる重さが太陽の約10分の1しかない若い星で、かつて地球が誕生した時のように、若い恒星の周りにある円盤内にガスやチリが集まっているため、地球のような惑星が生まれる場の原始惑星系円盤であると考えられています。太陽の半分より軽い恒星で円盤の観測に成功したのは今回が初めてです。
地球のような惑星は、若い星を取りまく円盤状のガスとチリの固まりから誕生します。太陽のような恒星が生まれ成長するのと同時に自然につくられる構造で、円盤中でチリが成長して微惑星が生まれ、微惑星どうしの合体衝突などによって惑星が誕生すると考えられています。
今回円盤を観測したFN Tauは太陽の重さのわずか10分の1しかない軽い星で、地球から460光年離れたおうし座の方向にあり、誕生後10万から100万年程度の恒星。惑星には比較的小さい地球型惑星と、その数百倍の質量をもつ木星のような巨大惑星が存在。太陽系には両タイプの惑星があり、FN Tau の周りに見つかったような軽い円盤の中では、小さな地球型惑星しか形成されないと考えられています。つまり、地球のように小さい惑星が、太陽系外で初めて見つかる可能性があるという、夢のような話なのです。
これまでに発見された約270個の太陽系外惑星の多くが木星型巨大惑星で、最小でも地球の質量の5倍もあり、真の地球型惑星と言える例はまだ見つかっていません。太陽系外惑星探査の急務はこのような軽い星の周りで地球型惑星を発見することなのです。第二の地球はあるのか? 地球外生物は? 生物が誕生するのに必要な大気の存在は? 夢は広がります。
今回、観測に成功した総合研究大学院大学などの研究チームには、国立天文台のほか、宇宙航空研究開発機構、名古屋大学、神戸大学、茨城大学がメンバーに加わっていました。
◎すばる望遠鏡
ホームページ:http://www.subarutelescope.org