中部国際空港の路線減少に歯止めかからず
中部(名古屋)-ホノルル線を現在デイリー運航しているコンチネンタル航空が、残念なことに来年4月1日から運休することを13日(火)までに正式に決めました。同航空によると、中部国際空港(セントレア)-ホノルル線は、運航開始から約3年で燃油価格が約75%上昇するコスト増に加え、空港使用料が名古屋空港(小牧)と比較して約5割アップしているのに対し、搭乗客数は伸び悩んでいることが撤退の主な要因としています。日本発のホノルル便では、10月からユナイテッド航空が関空-ホノルル線を運休したばかりで、ハワイの観光業に与える影響が心配されます。
コンチネンタル航空では、同路線で使用しているB767-400型機は今後より高い収益性を見込める大西洋路線に振り替える、としています。当面、「来年3月末までは運航を継続し、関連業界への影響を最小限に留めたい」という意向です。ただ、2008年度上期(4月1日~9月30日)についての交渉は始めておらず、今後については「市場の動向に注目したうえで、強い需要が見込め、それに見合う機材が用意できれば運航したい」と、若干の含みを残してはいます。が、過去の例から、条件が整ったとしても、中部-ホノルル線への復帰は早くても1年以上先になりそうです。
中部国際空港では、国際線の月間平均座席数は開港以来、約12万席増加したのに対し、国際線の利用者は4万人増に留まっていることが背景にあります。また、中部発着の国際線は、今冬スケジュールで開港以来初の減少に転じ、ベトナム航空が12月15日からのホーチミン線運休を発表。マレーシア航空も2008年1月7日からクアラルンプール線を運休する予定であるなど、中部からの路線減少に歯止めがかからない状態が懸念されます。
これに伴い、来年4月以降、成田を除き、日本発で運航されるホノルル線の定期便は、ジャルウェイズの関空便と中部便のほか、ノースウエスト航空の関空便だけ。コンチネンタル航空は現在、ホノルル線の機材に座席数235席のボーイングB767-400型機を使用していることから、運休後は週間ベースで片道1645席が減少することになります。
ハワイ州産業経済開発観光局のデータによれば、ハワイを訪れる日本人観光客は、1997年の約220万人をピークに、最終的に約153万人が訪れた2001年は9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件から減少に転じ、02年は148万人、03年はイラク戦争やSARS(重症急性呼吸器症候群)騒ぎなどの影響で134万人と大幅に落ち込みました。翌04年には148万人、05年は152万人と一時は持ち直していたのですが、昨06年は136万人、今年は130万人台を何とかキープできるか、という状況。ワイキキの大手旅行代理店などでは、「来年はエアーの減便のほか、燃油サーチャージの値上げ、北京オリンピックの開催で中国へかなりの観光客が流れることが予想されるなど、さらに120万人台へ落ち込むのではないか」と危惧する声が早くも聞かれます。
この数字は、過去10年間で約100万人の日本人観光客がハワイを離れた計算になるわけです。ハワイには年間750万人の観光客が世界中から訪れています。なかでも日本人観光客は米本土に次ぐ第2位という多さ、この美しい海や自然、日本人観光客にとっても最も過ごしやすい外国の一つという事実は今も変わりません。が、観光局や旅行業界など関係者の努力に反して、もう小手先のマーケティング手法や宣伝・広告では通じないことを意味しているように思えて仕方ありません。「ディズニーランドが本気でコオリナに来ないかな」と、知人の旅行関係者がつぶやいています。