ハワイにロケット基地計画が浮上
(Photo Courtesy : Rocketplane Limited, Inc.)
2010年に有人宇宙船を打ち上げへ
夢だった宇宙旅行が次第に現実化しつつある中、世界的に知られる民間の宇宙開発企業「ロケットプレーン・キスラー社」(本社・米オクラホマ州)が2010年から、ハワイで有人宇宙船「ロケットプレーンXP」による「サブオービタル宇宙飛行」を計画中であることが明らかになりました。サブオービタルとは高度約100kmの宇宙空間を音速の3~4倍の速さで弾道飛行し、地球を眺めたり、数分間の無重力体験をするもの。この宇宙旅行の費用は推定約25万ドル(約3000万円)と見込まれています。
同社の計画によると、ジェットエンジンとロケットエンジンの両方を搭載するロケット型ジェット機「ロケットプレーンXP」をホノルル国際空港から打ち上げ、ハワイ島のコナ国際空港に帰還するという飛行プラン。オアフ島にある米軍専用のカラエロア空港に訓練施設を確保し、地元のハワイ大学との共同研究なども視野に入れている模様です。早ければ、2008年にはロケットプレーンXPのテスト飛行を実施し、09年にはオクラホマ州にある宇宙船基地で飛行を開始する予定だそうです。
ハワイでのサブオービタル宇宙飛行に関し、同社の関係者は「世界中からハワイを訪れる多くの観光客は非常に魅力的で、ハワイは比較的天候も安定しているので、宇宙から眺めるハワイ諸島や太平洋はきっと素晴らしいものとなるでしょう」と語っています。同社では将来、北海道にも宇宙船基地を建設し、日本での宇宙船打ち上げも計画に入れているようです。
ただ、ハワイの空港で宇宙飛行を実現するには米国連邦航空局(FAA)の宇宙船基地ライセンスを取得しなければならず、州上院では「多くの反対を受ける商業宇宙船基地の建設に対し懸念を抱いている」という報告があり、現実化にはまだ紆余曲折がありそうです。
1961年4月、「地球は青かった」の名言で知られるユーリ・ガガーリンによる人類初の有人宇宙飛行から約半世紀、東西冷戦時代には米ソ両大国が国家の威信をかけて競い合った宇宙が、いまや民間人向けのツアー商品の巨大なマーケットになろうとしているようです。
一方、リンダ・リングル州知事はこのほど、今後約160億ドルをかけて米国航空宇宙局(NASA)が計画している月や火星へのプロジェクトに協力することで合意したことを発表しています。