ハワイロード

イオラニ宮殿で大規模な化粧直し

老朽化が進む空調設備と配電装置が中心

ハワイ王朝最後のカラカウア王が建てたアメリカで唯一の宮殿で、栄華を誇った王国時代のシンボルとなっている「イオラニ宮殿」が、約500万ドルをかけて大規模な改装工事が行われることになりました。すでに建物周辺では小規模な工事に着手し、老朽化が進む空調設備と配電装置を中心とする本格的な改修は秋頃から行われる予定。宮殿や公文書保存館は工事中でも開館されることになっています。

従来、イオラニ宮殿の維持、管理はハワイ王朝の末裔の一人で旧キャンベル財団の相続人の一人でもあるアビゲイル・カワナナコアさんが中心となるボランティア団体「イオラニ宮殿友の会」が行っていました。ところが、イオラニ宮殿に隣接する2棟の建物も老朽化が激しく、改修工事が急がれていました。今回の改修では、空調設備などのほか、出入口の身障者用通路の整備なども含む計画。これまで毎月35,000ドルに及ぶ整備費が計上されていましたが、事実上、「焼け石に水」状態が続いていました。

イオラニ宮殿では2004年の秋にも修復工事が実施され、約150万ドルをかけて、主に錆びやすい鉄や漆喰(しっくい)で造られた支柱などの精巧な細工部分や床、ハリケーン対策が施された窓ガラスの取り付け、セキュリティ設備の設置などが行われました。

この宮殿はカラカウア王が即位して9年目の1882年に、当時の金額で36万ドルをかけて建設。1893年のクーデターで王政が廃止されるまで、カラカウア王とカピオラニ王妃、妹のリリウオカラニが公邸としていた宮殿でした。施工中に全くタイプの異なる3人の建築家が採用され、当時は「アメリカン・コンポジット(総合アメリカ様式)」や「アメリカン・フローレンティン(アメリカ・フィレンツェ様式)」などと称されました。

宮殿の場所は、ダウンタウンにあるハワイ州庁舎の向かい側。カラカウア王の妹で後継者だったリリウオカラニ女王がクーデターで退位させられるまで生活していましたが、王朝の崩壊とともに調度品などは取り払われ、州政府の行政府として使用。1969年の州庁舎完成後、州政府が移転し、750万ドルかけて修復。行政府時代の76年間に、約1万点以上の美術工芸品などが売却されましたが、その後、約4,000点を回収。ワインレッドとゴールドで統一されたサロン、青いインテリアで統一されたブルールームなどから、ハワイ王朝の栄華とその終焉(しゅうえん)の悲話が聞こえてきそうです。今回の修復で当時の美を取り戻してほしいものですね。

内部の見学には館内ツアーがオススメで、ガイド付きで詳しい説明を聞けます。その後、地下のギャラリー見学も可能。ビジターセンターで宮殿の歴史の短いビデオを観賞。2階に上がり、当時の王族の住居を見学。1階にはダイニングルームやワインレッドとゴールドで飾られた王座のある公式謁見室、ブルールームがあります。当時はパーティーや舞踏会の舞台で、招待客らが夜が明けるまでダンスを楽しんでいたそうです。2001年まで入場禁止だった地下には、王冠や宝石などの展示ギャラリー(予約不要)が併設されています。

見学は20分間隔のガイド付きツアーがオススメで、事前の予約(電話可)が必要。日本語ツアーは午前11時30分にスタートします。少なくとも30分前までには宮殿正面向かって左側のチケット・オフィスで入場料を支払い、宮殿内に入る前に内部を傷つけないよう渡された靴カバーを装着。内部での飲食や写真撮影、携帯電話の使用などは禁止です。お土産などに最適なパレス・ショップもあります。

◎イオラニ宮殿 ガイド付きツアー

住所:364 South King St., Honolulu, HI 96813
公開時間:9:00-11:15 (火~土)、日本語ツアーは11:30のみ
休館日:日曜(第1日曜は除く)、月曜日休館
電話:522-0832(見学ツアー予約)、538-1471
料金(ツアー参加と入場料):大人$20、子供(5歳~12歳)$5。5歳未満は参加不可
アクセス:ワイキキからザ・バスの2番、13番、エクスプレスB番に乗車し約20分
ホームページ:www.iolanipalace.org