ハナペペのスインギング・ブリッジは必見
ノスタルジックな旅愁を誘う街
今回、ぜひ行ってみたかったのが、カウアイ島の南側にあるハナペペという街。何故かというと、ここには映画の場面に登場するようなすべて木製の橋があるからでした。今ではアート系のギャラリーがズラリ建ち並ぶ小さな街の一画に、その橋がありました。
ハナペペ川に架かるこの細い木製の橋は、幅はやっと一人が通れるくらい。実際に渡ってみると、ユラユラと微妙な揺れで、まるで大きなハンモックのよう。実にノスタルジックな旅愁を誘う、期待通りのものでした。
このスインギング・ブリッジは1992年のハリケーン・イニキがカウアイ島を襲った時に流されてしまったそうで、その後、架けなおされたということです。不思議なのは、ほとんど周りには人けがなく、対岸には近くに1軒だけ家があります。この人たちを含む、川の反対側の人たちのために造られたのでしょうか?
川岸では草刈をしているおじさんたちがのんびりと働く姿があり、穏やかな川面の流れを眺めているだけで、「何となく、心が落ち着くよな」と、しばし慌しい取材中にもたらされた、時間が止まったような感覚で全員が沈黙。上流へ少し行くとハナペペ渓谷があり、川岸が切り立った岩壁になっているところもあります。
ハナペペはポイプからワイメアに向かって50号線を西へ走り、ハナペペ渓谷展望台を過ぎた辺りにあります。近くには、今でも塩を作っている州で唯一の自然のソルト・ポンド(塩田)があるソルト・ポンド・ビーチ・パークやカウアイコーヒー・ビジター・センターもあります。
ハナペペの街はカウアイ島の南部で「最も大きなリトルタウン」と呼ばれ、1800年代後半に中国系移民達の稲作農業で開拓。その後、南部の文化的経済的発展の中心地として栄えたようですが、街が荒廃した時期もあり、1970年代から80年代にかけて次第に衰退したようです。ハリケーン・イニキが与えた損失も大きく、今でもまだ完全に復旧していない所もあるという話です。現在ではアート・ギャラリーやショップがある小さな街なので、一度ゆっくり散策してみてくださいね。