侵食が進むワイキキビーチの砂浜を補充
期間中、ビーチの一部を閉鎖
ハワイの象徴ともいえるワイキキビーチの侵食が進んでいることから、州政府がビーチの砂を補充し、ビーチの復元と美化工事に先月末から取り組んでいます。ハワイ大学などの調査では、ワイキキビーチの砂は波や潮の満ち引きで毎年20 cmから30cmずつ侵食しているそうで、今回のような大がかりな砂の補充作業は1975年以来。47万5000ドルをかけた補充工事の期間は約1ヵ月の見込み。この工事は2004年から予定され、許認可や設備の遅延などで大幅に遅れていましたが、先月末にようやく着工されました。期間中、ビーチの一部は閉鎖されています。
かつてワイキキビーチ一帯は湿地帯で、実は成長を遂げてきた観光業を支えるために人工的に設けられたビーチなのです。今年、自然資源保護団体が発表した「全米ビーチの水質調査」でも、ハワイ州のビーチは全米で最も清潔なビーチの一つであることが分かっています。ワイキキでは1929年以来、これまでに、何度か砂を補充。昔はノースショアから運んだり、最近ではカリフォルニアや豪州から輸入するなどして、ビーチの拡張と整備を行っていました。
今回の作業は、ワイキキ交番からカパフルの防波堤までのワイキキビーチ沖合約2000フィート(約610m)にわたる侵食した砂地を補充するため、海面下にある約10000立方ヤードの砂をパイプラインでビーチに吸い出す計画。補充作業後もワイキキビーチの幅や長さに大きな変更はなく、一部で懸念された従来のワイキキの波や地形に悪影響を及ぼす恐れはないそうです。
ハワイ大学の関係者は「数年前に沖合へ波で運ばれた砂を使うので、この作業はリサイクル事業」と語っています。今回のプロジェクトでは、水質の改善やビーチ周辺の安全強化の改善策など、将来への確実でより良い環境づくりとデザインを目指すことも盛り込まれています。
この緊急避難的なビーチの砂の補充に対し、こういう短期解決策には一部で懸念の声も上がっています。というのも、オアフ島やマウイ島ではこの半世紀で砂浜全体の約25%が侵食されたと指摘されているからです。
今後、世界的な温暖化現象が続くようなら、海面の高さが30cmほど上昇すると予測する学者もいるため、もしそうなれば今世紀末までにワイキキビーチの半分以上が水没? してしまうというデータもあるそうです。
◎ワイキキビーチの砂浜を復元
着工:10月30日から
期間:約30日
場所:ワイキキ交番からカパフルの防波堤まで
ホームページ:/www.hawaii.gov/dlnr/occl/waikiki.php