米国では家庭内禁煙世帯が全米平均で70%超える
欧米で進む禁煙法制化
米国では自宅を「完全禁煙」にしている世帯が全米平均で70%を超える— 米国疾病対策センターが発表した調査報告書によると、自宅の完全禁煙世帯は10年前から大きくアップしていることが、6日(水)までに明らかになりました。同センターでは「子供や非喫煙者に対する受動喫煙被害の減少につながる」と、歓迎の意向を表明しています。
同センターの喫煙に関する調査では、1992年から93年に自宅を禁煙としていた割合は43%と過半数以下でしたが、2003年の調査時には72%に達しています。州別では、自宅の禁煙率が最も高いのはユタ州の88.8%で、約90%の世帯が禁煙となっているのには驚かされます。このユタ州の自宅禁煙率は92年から93年の調査時には69.6%でした。逆に、禁煙化率が最も低いのはケンタッキー州の53.4%。しかし、92年から93年の調査時の25.7%から倍増しており、自宅内の禁煙化は全米で急速に進んでいることが理解できます。
この調査は、1州あたり700から900世帯、全米で約12万7000世帯を対象に実施されました。少なくとも喫煙者1人がいる世帯で「タバコは外で吸う」と決めているのは、90年代初頭の約10%から、2003年には32%にアップしているそうです。
この結果について、同センターでは「多くの人たちが間接喫煙の恐ろしさを理解し始めたのだろう。職場や公共の場所での受動喫煙被害は、ここ数十年で大幅に減少。だが、自宅で受動喫煙の危険にさらされる子供たちや非喫煙者はまだ多い。家族だけではなく、自分の健康を守るためにはタバコを止めることが最善策」と、訴えています。
一方、5月31日の「世界禁煙デー」を前に、世界保健機関は「公共施設や屋内の職場を全面禁煙にするよう各国に勧告」しており、愛煙家はますます肩身が狭くなりそうです。
海外での喫煙規制は屋内の公共施設を対象とするものが主流で、欧米が主導。米国内では直接喫煙による死者が年間44万人、間接喫煙による死者も5万人に上っています。ハワイなど全米の9つの州と首都ワシントンでは公共施設や職場、レストランなどを禁煙にする法律が施行され、他の3州でも類似法案が可決。ある禁煙団体では「都市単位の喫煙規制も拡大中で、人口の半数あまりが受動喫煙から解放された」と、高く評価しています。
欧州でも禁煙法が相次ぎ、英国ではスコットランドなど大半の地方で禁煙法は施行済みで、7月1日からイングランド地方が屋内の公共施設の大半を禁煙にすることになっています。違反した場合は最高200ポンド(約5万円)、施設の管理者には最高2500ポンド(約60万円)の厳しい罰金が科される予定だそうです。
日本でも、2002年10月に、東京都千代田区が全国初の路上喫煙者に罰金を科す「生活環境条例」を施行。区内約60%のエリアが対象となり、同条例の施行後、すでに約33000人が2000円の罰金納めたそうです。同区の動きはすでに全国30以上の自治体に波及し、同様の罰則付き条例を定めているそうです。