■仮設住宅の建設、緊急支援を延長■
ホームレスの増加が深刻化しているハワイ州のデービッド・イゲ知事が16日、ホームレスの支援強化に乗り出し、路上生活者などの減少を目指す「非常事態」を宣言した。イゲ知事はハワイ州のホームレス対策で最も欠けているのは、避難施設であると強調。ホームレスを保護するための仮設住宅を直ちに建設し、緊急支援を延長することなどを決めた。
常夏のハワイは憧れの居住地として人気は高いが、全米でも屈指の物価高、家賃や住宅コストの高騰などで、ホームレスになる人があとを絶たない。また、温暖な気候のため、米本土からホームレスが移動してくるケースが多く、特にこの2年は寒くなる冬場を前にした増加が顕著。このままでは、主要産業の観光業にも影響が及びかねないと指摘されていた。
ハワイ州によると、今年実施された調査によるとホームレス人口は推定で7620人に上っている。このうち、440人の子供を含む3800人余りは支援施設を利用せず、トイレやシャワーも使えない状況、という。数は他州に比べて少ないものの、住民10万人当たりの比率では465人と、全米50州の中では最悪となっている。
過去2年間では、オアフ島でのホームレス増加が特に目立ち、今回の非常事態宣言に基づき、居住先がない個人や家族を収容する仮設住宅へ迅速に移す計画に全力を挙げる、という。具体的には、関連予算として130万ドル(約1億5500万円)以上をかけて、ホームレス用の仮設住宅の建設などを進める。
同州では2013年、ホームレス対策の改善が不十分だとして一部の州議会議員が路上などに放置された、ホームレスが使用するショッピング用カートをハンマーで相次いで破壊する騒ぎもあった。
また、ホノルル市のカーク・コールドウェル市長は、オアフ島のワイキキやアラモアナ、ダウンタウン、チャイナタウンなどにあるモールでの寝転びや座り込みを禁止。対象となるモール周辺の植え込みや歩道、モール内での寝転びや座り込みを禁止することは、「行き場のないホームレスを追い出すことを目的としており、ホームレスの人々を不当に扱っている」との反対意見も強かった。違反者には、最大30日の禁固刑と罰金$1,000が科せられる。
米国内では、非常事態の宣言は自然災害などの発生に伴う場合が多いが、ホームレスのような社会問題に適用される事例もある。先月、ロサンゼルス市もホームレス対策を狙った非常事態を宣言し、必要な財源として1億ドルの関連予算を表明。同市では過去2年で、ホームレス人口が12%を記録していた。
米国のホームレス問題団体の調べでは、カリフォルニア州のホームレス人口は約11万4000人、ニューヨーク州は8万人以上、テキサス州は約2万8500人となっている。
◎ハワイ州
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