■【動画あり】建設予定地はハワイ先住民の「聖地」■
ハワイ島にある標高4205mの休火山「マウナ・ケア」の山頂に、約1600億円をかけて世界最大の光学赤外線望遠鏡を建設する計画に、環境保護グループやハワイ先住民の活動家たちが建設計画の中止を求める抗議活動を行っている。
事態を深刻に受け止めたデービッド・イゲ州知事は、工事を今月20日まで一時的に停止すると発表。賛成派と反対派の双方が話し合いのテーブルにつくように求めた。
建設が予定されているのは、米国、日本、カナダ、中国、インドが計画を進めている口径30mの光学赤外線次世代超大型天体望遠鏡「30m望遠鏡」(TMT)。完成すれば、世界最大で最高感度の天体望遠鏡の一つとなる予定だが、問題はTMTの建設予定地がハワイ先住民にとって「聖地」とされている場所であることだ。
マウナ・ケア山頂で行われた抗議活動には何百人もの人々が参加。連日、地元メディアでも報道されているが、これまでに少なくても30人が逮捕された。反対派やハワイ先住民の活動家らは、抗議活動に参加する人たちへの支援を求め、TMTの建設工事を中止し、逮捕者全員の釈放を要求する署名活動も呼びかけている。
ハワイ先住民の活動家は「我々はマウナ・ケア。海はマウナ・ケアを懐に抱く。大地はマウナ・ケアの前にひれ伏す。マウナ・ケアは天まで高くそびえたつ。マウナ・ケアがあるところに、生命にとって必要なものすべてが存在する。我々はマウナ・ケアだ!」と、TMTの建設中止を求めている。
「これはビッグアイランドに住む者たちだけの問題ではない。世界全体の問題であり、自分たちの土地をどう扱うかという問題なのだ。人類が地球の自然を守り、自分の生まれた場所を守るために一つになることの象徴だ」とも語っている。
マウナ・ケア山頂付近には、日本のすばる望遠鏡をはじめ、世界11カ国の研究機関が計13基の天文台を設置。ハワイ先住民や環境保護グループは以前から、望遠鏡の建設について反対してきた。生命体が棲む第2の地球などを観測する世界的な大規模プロジェクトを優先するのか、マウナ・ケア山頂を神聖な場所とするハワイアン系の人たちの思いを重視するのか?