【動画あり】■反対派がハワイ島マウナケア山頂で抗議行動■
約1500億円をかけて、生命体が棲む第2の地球などを観測する世界最大の光学赤外線望遠鏡「TMT」の起工式が昨7日、ハワイ島マウナケア山頂の建設予定地で行われる予定だったが、ハワイアンにとって神聖な山と考えるネイティブハワイアンなどの反対派の抗議行動で中止された。TMTの関係者は、「起工式のスケジュールを変更するかどうかは決まっていない」と、コメントしている。
起工式の会場ではこの日、2014年度からの建設に参加する日本、米国、中国、カナダ、インドの計5カ国の関係者らが徐々に集まっていた。反対派は「マウナケア山頂は聖地だ」などと書かれたプラカードを掲げながら、山頂へ続く道路で火をくべるなどして封鎖し、式典参加者の通行を阻止。暴力行為などは伴わない緩やかな抗議行動だったことで、本体工事への影響などは出ていない。
「TMT」は2021年度に完成の予定。現在運用中の望遠鏡の性能を大きく上回り、誕生間もない宇宙や宇宙の初期段階で誕生した銀河の正体に迫ることが期待されている。TMTプロジェクトは、Thirty Meter Telescopeの頭文字から命名。建設される超大型光学天体望遠鏡のレンズは世界最大の直径30mで、マウナケア山頂に新たに天体観測所を建設し、太陽系外で生命が存在しそうな惑星を探すなど、早くも期待されている。
近くには、すばる望遠鏡(口径8m)など世界各国の望遠鏡が設置されており、起工式ではハワイの伝統的な儀式のっとり、安全祈願の祈りが捧げられる予定だった。が、反対派は「神聖な場所に、これ以上、人工物を造るな」と、抗議していた。