ハワイロード

絶壁のうしろの丘にて

カウアイ島の北部、ハナレイ・ベイを望むプリンスヴィルは、
とても安らぐ場所だ。
大平洋が眼下に広がる絶壁のフチ沿いに緑の丘が細長く続き、
素朴なコテージが点在している。
その中のひとつ、Pali ke kua に滞在したときの感動は今でも鮮明に覚えている。
今回は、その時に撮った3点の写真で、ゆったりとした時間の流れと
「LINO MAKANI」を感じて頂けたらと思う。

「パリ・ケ・クア」はハワイ語で「断崖絶壁のうしろ」という そのまんまの名前のアコモディションで、 先ず驚いたのが、チェックインすることもキーもなく、 メールで事前に知らされたパスコードを玄関ドアに付いている装置に入力して (と言っても3桁の数字をただ回すだけの超レトロな鍵なのだが)入室し、 滞在期間中自由に出入りして、チェックアウトもしないで出て行くシステムだ。

まるで以前からそこに住んでいたような気分にさせてくれる、
とても気のきいたさりげなさに大感動。
リビングからは、芝生のバックヤード越しに洋々とした碧い海が一望できた。

ラナイに出て、冷えたビールを片手に
遥か下の方から聞こえてくる潮騒を聞きながら、
Na Pali Coastの北のはずれに位置する、剣のように険しい稜線の向こうに
ゆっくりと陽が落ちてゆくのを眺めていた。

ゆったりした時間が流れる中、
肌をくすぐる風が少しずつ冷たさを増して心地良い。

地球はこんなにも壮大で美しく、 生けるもの全てに惜しみなくこの愛に満ち溢れた世界を与えてくれているのに… なんてちょっとメランコリックな気分に酔いしれる。

今ここでこうして至福の時を過ごせていることに感謝しながら、 この最高に美しい光景を大勢の人々に見せてあげたい。 写真という手段で切り取ったボクの感動をみんなと共有したい。 という衝動が心の奥底から沸き出して、 ゆっくりとカメラのシャッターを切りはじめたのだった。