■デザインを一新し、新たな偽造防止を工夫■
デザインを一新し、新たな偽造防止機能を施した「新100ドル札」の流通が10月8日から、ようやく始まることを米連邦準備制度理事会(FRB)が明らかにした。新100ドル札の製造は、印刷上の問題が生じたことで2年間遅延。FRBは需要に対応するため、発行初日までに36億枚、つまり3600億ドル分の新100ドル札の印刷を終える予定だ。
新100ドル札には、いくつかのセキュリティー機能を採用。3次元(3D)の青いリボンを紙に織り込むほか、色が変わる「自由の鐘」の絵を入れるなどで、偽造を難しくする工夫がある。現行のベンジャミン・フランクリンの肖像画は、新100ドル札のデザインにも継承。2010年4月に初めて公開され、当初、11年2月10日に流通する計画だった。
新機能のセキュリティーリボンには鐘の絵と数字の100が刻まれており、紙幣を動かすとそれが動いて見える。自由の鐘の絵は、紙幣を傾けると色が赤銅色から緑色に変化し、インクつぼの絵の中に消えるようになっている。
ところが、紙を印刷機にかけると、シワが発生。財務省印刷局が問題の解決に取り組んだ結果、印刷のでき栄えが湿度、再生紙の含有分、紙の経年といった諸要素から影響を受けることを突き止めた。関係者によると、複雑な偽造防止機能のために紙が波打ち、印刷機に紙を挿入する方法の変更を余儀なくされた。
現在では、改良された印刷機に紙をかけても、最低約0.08mmのシワがあると弾かれる仕組み。品質管理をチェックする4台の高精細カメラが、生産ラインを進む紙を検査する。印刷は、ワシントンとテキサス州フォートワースの2施設で行われる。
FRBによると現在、約90億枚の100ドル札が流通。そのうち、実に3分の2ほどが米国外で保有されている、という。流通地域が幅広いという事情から、100ドル札は国外で最も偽造されやすい高額紙幣となっている。
FRBの12地区連邦銀行は10月8日から新100ドル札を各金融機関に提供。100ドル札の寿命は約15年くらいで、旧紙幣は各銀行を通じて、最終的にはFRBに回収、破棄処分される。