■第442連隊の英雄で、日系人の地位向上に貢献■
米陸軍の日系人部隊「第442連隊」の英雄で、長年、米連邦議員として日系人の地位向上に貢献したダニエル・イノウエ上院議員(ハワイ州選出、日本名は井上建)が17日、肺気腫のため入院先の首都ワシントンの病院で死去した。88歳だった。歳出委員長を務める上院民主党の重鎮で、日米のパイプ役としても重要な役割を果たした。最後の言葉は「アロハ」だったという。
イノウエ氏はハワイ州ホノルルで日本人移民の家庭に生まれた。父は福岡県、母は広島県の出身。ハワイ大学マノア校に進学し、第二次大戦中、欧州戦線で日系米国人部隊「第442連隊」に所属。イタリアにおけるドイツ軍との戦いで、1945年4月21日に右腕を失い、1年8ヶ月にわたって陸軍病院に入院。数々の勲章を授与されて帰国し、米陸軍から英雄として称えられた。
陸軍大尉で名誉除隊し、右腕を失ったことで当初、目指していた医学の道を断念。ハワイ大学に復学し、政治学を志し、ジョージ・ワシントン大学の法務大学院に進学。戦後、政界に進出し、連邦下院議員を経て、1962年にハワイ州選出の連邦上院議員に当選、連続9期目の任期途中だった。1954年には退役軍人と一緒にハワイで日系人になじみの深い銀行、Central Pacific Bankを設立。1973年にはウォータゲート事件では、上院調査特別委委員長となり注目を浴びた。
ダニエル・イノウエ上院議員の死去を受けて、オバマ米大統領は17日、「米国は真の英雄を失った。彼が示した勇気は万人の尊敬を集めた」との声明を発表した。