ハワイロード

188年ぶりに「白鯨」ゆかりの沈没船の残がい発見

(Photo Courtesy:NOAA)

■ハワイの北西約600マイル(約970km)の海底

白いマッコウクジラ「モービー・ディック」を巡る数奇な体験談を綴る長編小説「白鯨」のモデルになった悲劇の捕鯨船「エセックス号」の船長が漂流の末に生還後、再び船長を務めた捕鯨船「ツー・ブラザーズ号」の残がいが、ハワイの北西約600マイル(約970km)の海底から188年ぶりに見つかった。

発見したのは米国海洋大気局(NOAA)で、2年前から海洋考古学者らとともに探索が続けられていた。場所はホノルル市の北西約600マイル(約970km)の海底。ハワイ北西部のこのエリアは、パパハーナウモクアーケア海洋国家遺産に指定されている海域で、19世紀に少なくとも10隻の捕鯨船が沈没したとみられている。

発見された船は、マサチューセッツ州にあった世界有数の捕鯨港ナンタケットを出航し、1823年2月に座礁した捕鯨船「ツー・ブラザーズ号」とみられている。NOAAと海洋考古学者らが共同で実施した調査で、大きなイカリ、鉄の鍋、モリの先端部分やガラス、陶器などが見つかっていた。NOAAでは、「ナンタケットを出航し、沈没したとされる捕鯨船の発見は今回が初めて」と発表している。

このツー・ブラザーズ号のジョージ・ポラード・ジュニア船長は1820年、エセックス号の船長として、捕鯨拠点だったナンタケットから出航。エセックス号は南太平洋でマッコウクジラに襲われて沈没し、生き残った船長と乗組員は1カ月以上も漂流した。この乗組員らの過酷な体験談を元に、19世紀の米国人作家ハーマン・メルヴィルが代表作ともなった「白鯨」を執筆したといわれている。

回収されたツー・ブラザーズ号の遺品などは、カリフォルニア州で復元作業が行われた後、将来的にはハワイ島ヒロのディスカバリー・センターで展示される計画という。