約30校あるチャータースクールは平常通り
長引く景気の低迷で深刻な打撃を受けているハワイ州で今日10月23日(金)から、事実上、公立校が毎週金曜日に休校となる「週休3日制」の実施が一部を除いて始まった。事の発端は、財政難にあえぐハワイ州政府が教員の給料を約8%削減したため。当初、反対した教員組合も解雇されるよりはマシと同意したが、実質給料カットとなる無給休暇「Furlough」で応じたことで、ハワイ州の学年末にあたる来年5月末まで計17日間の金曜日が休校に決まった。果たして、多くの子供たちは・・・
ハワイ州政府は支出を削減するため、州職員の大幅な賃金カットやリストラ策を進めている。教育関係の予算も大幅にカットされ、公立校の先生たちの賃金も約8%カットされることになった。そこでの妥協案が計17日分の金曜日を休校にして授業日を減らす、公務員に対する強制的な無給休暇策「Furlough」。当初、隔週の金曜日と思われたが、冬休みや祝祭日、学校の催しなどで、実際には毎週金曜日が休校となる見込み。これにより、ハワイ州の学生約17万1000人の年間授業日数は、これまでより17日少ない163日で、米国で最も少ない授業日数となる。
米国には、最低年間授業日数を定めた法律や規制は無い。ただ、全米の大半の公立校では、180日以上の授業日数が確保されている。年間授業日数が180日を下回る州は11州のみで、ノースダコタ州が173日、ハワイ州が163日で最下位となってしまった。一般的なハワイ州の公立校は、全米でも教育環境やレベルは決して高い方ではない、というのが常識だけに、州政府と教員組合の狭間で、罪のない子供たちが置き去りにされている。
もちろん、今回の決定に反対する心ある教員も多く、30%にあたる約80校から授業日数カットの撤回を求める要求が出されている。本日午前10時から、州庁舎の前には、無給休暇「Furlough」に反対する父兄や教員らが続々と詰めかけ、「子供たちに授業を!」「リングル知事は辞めろ!」などのプラカードを持って、多くの市民らにアピールした。
今回の公立校に関する無給休暇「Furlough」という流れの中で、小学校から高校までハワイに約30校あるチャーター・スクールでは、この日も平常通りに授業が行われた。チャータースクールというのは、米国で1990年代から増えつつある新しい学校の試み。米国では教育に関する権限は各州にあるため、制度は州によって異なるが、急速に発展を遂げている新しい形の公立校。平たく言えば、選択制の独立した公立校で、結果に責任をもつ以外は公立校運営の諸規則から自由ということで、注目を集めている。
ウチの子供たちが通うオアフ島カイムキにあるチャータースクール、ワイアラエ小学校では、「私たちの学校も厳しい状況にあるが、他の公立校のように休校ということはしない」と校長が断言したように、この日も校庭で遊ぶ生徒たちの歓声が聞こえる、いつも通りの授業風景があった。ただ、来年度以降の方針は未定ということで、PTAなどが中心になって、寄付や援助で学校を支えようという動きが始まっている。
きょう23日は、無給休暇「Furlough」初日だったので、まだ紆余曲折が予想されるが、今後、授業日数が減らされる分、子供たちの宿題が増えるとか、ハワイでは一般的な働く主婦にとって、法律で「13歳未満の子供を一人にすることは違法」なので、金曜日に働けなくなる、という経済不況を悪循環させる恐れも危惧され始めている。
ハワイ州教育局のパトリシア・ハマモト教育局長は「厳しい経済情勢が続く間は、学校教育や学生向けサービスを提供するために教育局の持つ資源を活用する」と説明し、資金がまかなえるようになれば週5日の授業を再開したいとしている。そこでは、ハリケーンなどの災害時に備蓄されている約170億円分を教育予算に充てる案や昼過ぎに授業が終わる水曜日の授業時間を延長する案なども検討されている。
ハワイ州税務局がこのほど発表した今会計年度の第1四半期の税収は、昨年同期比で9.7%の落ち込みを見せ、当初の予測をはるかに上回る大幅な減収となった。これを受けて州財政の均衡化を提案する州政府は、今後に向けた経費削減策の一段の強化の検討を開始する一方で、州議会ではもうしばらく税収動向を見極める必要があるとしている。当初、州歳入委員会では、来年6月末に終了する今会計年度の税収は昨年同期比1.5%ほど落ち込むと予測していた。