「Voices from Okinawa」がハワイ大と琉球大の共同で出版
ハワイと沖縄の100年以上にわたる親密な関係にもかかわらず、ほとんどの米国人が詳しくは知らないハワイで敬意をこめて「オキナワン」と呼ばれる沖縄系米国人について記された初の文芸作品集「Voices from Okinawa(沖縄からの声)」が、ハワイ大学からこのほど出版されました。1889年に初めて沖縄からハワイへの移民が旅立って以来、これまでに移住した元沖縄県民や子孫らの貴重な随筆や伝記などを編集。ハワイ大学と琉球大学の協力で実現した英語本ですが、ハワイ大学はフランク・スチュワート教授、琉球大学は山里勝己・教授が編集に携わっている。
12歳でハワイに移住し戦後沖縄の救援活動や人材育成に尽力したジャーナリストの湧川清栄氏のエッセー、元ハワイ国際大学長だった故・崎原貢氏のノンフィクション作品、ハワイ生まれで沖縄二世の作家、ジョン・シロタ氏のエッセーなど、5人の9作品が収録。作品には沖縄系米国人たちのハワイでの日常生活に始まり、異なる日米文化の狭間で自らのアイデンティティーを求め、日本と米国の間で揺れる心模様などが鮮明に描かれ、一世と二世の間に生じた感覚のズレなど、これまで一般には知り得なかった内容もたくさん綴られている。
壮丁にはハワイ大学所蔵の坂巻・宝玲コレクションの琉球使節の江戸上りの絵巻物の一部が使われた=写真=ほか、同コレクションから沖縄に関する資料が挿絵として随所に用いられています。初版は3,0000冊で価格は1冊$20、224頁。きっと、ハワイと沖縄に関する新たな発見が待ち受けているはずです。
◎ハワイ大学
関連HP:www.hawaii.edu/mjournal/text/issues/descriptions/okinawa09.html