世界最大の新航空会社名は「デルタ航空」
米国航空会社3位のデルタ航空と同5位のノースウエスト航空が、合併することが16日までに明らかになりました。昨日、両社の取締役会が合併することに基本合意。新会社の名称は「デルタ航空」で、実現するとアメリカン航空を抜いて世界最大の航空会社が誕生することになります。現在、行政当局による合併の承認手続中で、半年から8ヵ月後には正式に承認される見込み。ハワイには現在、ノースウエスト航空が成田、中部と関空からハワイへ運航しているので、利用者は今後、価格競争力のある運賃や旅客便の選択肢の増加といったメリットも受けられる可能性があり、より利便性の高い世界最大のマイレージプログラムも提供されるそうです。
新会社となるデルタ航空は800機の航空機を保有し、世界67カ国約400都市へ就航。年間収入は350億ドル、従業員数約7万5000人という全米最大で、世界最大の航空会社となります。デルタ航空は米南部や北東部、大西洋、ラテンアメリカに強く、ノースウエスト航空は米中西部、カナダ、太平洋に強みがありました。新デルタ航空は今回の合併で、路線網が強化されるだけでなく、燃油費や航空市場の自由化を目指すオープンスカイ政策の下での競争力の強化に繋がると期待しています。
両社は日本の民事再生法に該当する米連邦破産法11条のもとで、昨年再建されたばかり。合併後は従業員の雇用を確保し、燃料コストの上昇と競争に対応する方針。航空機の運用や業務の効率化、経費削減などを通じて、年間10億ドル(約1000億円)以上の収益を見込んでいます。
両社はこれまで、水面下で合併交渉を進めていましたが、双方のパイロット組合の調整が難航。一時、合併交渉は事実上棚上げされていました。が、今回合意にいたった背景には今秋、米大統領選を控え、企業の合併・買収(M&A)戦略に理解があるとされている共和党のブッシュ政権の下で、両社の統合をまとめようとする狙いも指摘されています。
また、米国航空会社2位のユナイテッド航空と5位のコンチネンタル航空も提携交渉に入っており、今回の両社の合併交渉を踏まえ、本格的な協議に入る見通し。燃料費の急速な上昇と過当競争に苦しめられている米航空業界は、一気に再編が進むことになりそうです。デルタ航空は昨年11月、原油高騰に伴う経営の悪化を懸念して、今年1月からノースウエスト航空とユナイテッド航空2社と個別に合併交渉のテーブルについていました。