特定の条件下でオーバーヒートして発火する恐れ
航空機内に持ち込む「リチウム電池」に関して、米国運輸省は今年1月から新しい規制を設けたことが21日までに明らかになりました。リチウム電池は特定の条件下ではオーバーヒートして発火する恐れがあるため、米国政府が決めたリチウム電池の爆発防止策に伴う措置。新しい規制によると、機内預け入れ荷物(受託手荷物)の中に、正しく梱包されていないリチウム電池を入れることは禁止されました。
一方、機内持ち込み手荷物(機内持込品)にはリチウム電池を最大2個まで入れることが認められていましたが、購入時のパッケージのままにしておくか、きちんと封ができるビニール袋に1個ずつ別々に入れる、もしくは電池の接触部分をテープで覆い端子の部分と絶縁した状態で持ち込むことが条件となっています。
搭乗客の多くが持ち歩く電子機器(ラップトップ・コンピューター、DVDプレーヤー、カメラ、携帯電話など)の多くに用いられている再充電可能なリチウム電池や単三リチウム電池に関しては、予備として機内に持ち込む場合は上記の条件にご注意ください。ただ、ラップトップ・コンピューターなどに『内臓』されているリチウム電池については、機内預け入れ荷物や機内持込品でも特に規制はありません。
航空機内では、持ち込んだ電子機器の取り扱いについて、機内放送で「機器の電源OFF」に関するルールの案内があることは、みなさんご存知だと思います。機器に装着(内臓)されていれば絶対に安全という訳でもないそうですが、予備の電池は適切な端子の保護をしないと、偶発的なショートが原因で発火や爆発に至る危険性をはらんでいるそうです。この事実について、一般的な関心の低さや注意の喚起が行き届いていないことなども、今回の新規性につながっています。
また今回の規制強化の背景には、2006年2月に、米国の貨物運送会社「UPS」の貨物輸送機が飛行中に貨物室から出火、フィラデルフィア国際空港に緊急着陸した事故があります。出火原因を特定することはできませんでしたが、大量の電子機器を搭載したコンテナが出火元とみられ、近年のポータブル電子機器の普及や機内持込、カーゴ便輸送の増加などを総合的に判断したものとみられています。