7月から9月発券分の3ヵ月間、固定化へ
世界的な航空燃油市況の高騰に伴い、日本航空と全日空は7月1日(日)から9月30日(日)発券分について、搭乗客も一部を負担する燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を引き上げることを決めました。今年に入って段階的に値下げしてきましたが、再び航空燃油(シンガポールケロシン)市況が上昇。1バレルあたり80ドル超の水準で推移していることから、7月からの値上げとなったものです。これにより、ハワイ路線は現在の片道7700円から1000円アップの8700円となります。これは小児や幼児も同額負担となります。
これまで燃油サーチャージの変更は不定期でしたが、今回の申請額は3ヵ月固定となります。10月以降の発券分については、5月から7月の3ヵ月間のシンガポールケロシン市況平均に応じて価格を設定し、2008年1月から3月の料金は8月から10月の市況価格で設定されることになりました。
今年に入り、燃油価格の改定が頻繁に行われ、状況や理由が消費者には分かりにくく、短期間に変更を繰り返すと利用者が混乱するとの指摘や旅行業界からも対応に配慮を求める声が出ていました。このため今後は、燃油価格の変動が運賃変更の基準に達した場合でも、直近の変更から3ヵ月は同運賃を固定する仕組みに改めることになったものです。
通常、これ以外に、米国と日本の空港使用税や航空保険特別料金などを加えると、航空運賃のほかに大人1人で約25000円を支払うことになります。家族で旅行する場合を考えると、平均的な4人家族で約10万円の追加出費となるわけです。このことが、観光業が基幹産業のハワイに与える影響はどうなるのでしょうか?
ハワイへの日本人訪問者数は一昨年が約150万人だったものが昨年は約137万人に減少。今年1月から3月までの累計では7.3%減となったものの、一人あたりの消費額は3月が前年比0.4%増の$263.7、総消費額は4.0%減の$170.8に辛うじて留まっています。マイナス要因として考えられるのが、実質的な航空運賃の値上げともとれる燃油サーチャージの高騰、円のメリットが少ない$1ドル=約120円という為替レートの円安傾向、厳しくなった禁煙法などが指摘されています。
原油価格や円安については、根本的には海外の投資家にも魅力的な日本経済の復活と、膨大な経常赤字を抱える米国経済の減速などのバランスに待つしかありません。禁煙法については未成熟な一部ハワイの日本語メディアが伝えた「厳しくなる」ことばかりが前面に出て、日本国内や日本人観光客に「(全面禁煙のホテルを除き)全客室の20%までは喫煙ルームを設けられることや喫煙可能な場所などの正しい情報が十分に伝わっていない」と、ハワイで観光関連業に携わる方々は嘆いています。
大規模なリノベーションについても、確かにワイキキを歩いてみると、ホテルや街並み、ショッピング街はキレイになってワイキキの新時代を思わせます。が、内容をじっくり検討すると、大半は従来からあったショップやレストランが増えただけ、日本人観光客を例にみれば、これでは減少傾向に歯止めはかからないのでは? という声が聞かれます。ブランドショップで買い漁る日本人観光客の時代は過ぎました。今、ハワイに求められているものは何なのでしょうか? これがハワイ再生へのポイントだと思われます。
ワイキキにある大手ホテルチェーンの副社長は「私たちは日本のマーケットについて、とても憂慮している。日本人観光客の落ち込みは航空機の減便や為替の関係、燃油代の高騰などによる航空運賃が高くなっていることも要因。ある日突然、観光客が戻ってくるものではないので、日本人観光客誘致に向けた新たな計画を考えなければならない時期に来ている」と話しています。