1999年の観測当時から10倍アップ
ハワイ島のマウナケア山頂(標高約4200m)に国立天文台(東京・三鷹市)が設置している「すばる望遠鏡」の解像度が21日、1999年の観測当時から10倍アップして世界最高レベルを達成したことが明らかになりました。
国立天文台と理化学研究所の合同研究チームは、大気の揺らぎを補正して像を明確にさせる方法を開発。たとえば、水の中から空を見上げた場合、水流で揺らいで見えるケースのように、夜空に輝く星々は大気の揺らぎで、ぼやけて見えるのが通常。合同研究チームは、上空90kmにある大気にレーザーを照射して光らせることで、これを「人工的な星」と看做すことで大気の揺らぎを検出。そこから揺らぎを打ち消すように、星の光を捉える反射鏡の形を瞬時に変える「補償光学」という技術で、観測当時に比べると解像度が10倍にアップし、世界最高レベルを達成したことが分かりました。
大気の揺らぎを検出するには、手掛かりとなる明るい星が必要ですが、それが観測視野にある確率はわずか1%。この問題を「人工的な星」と組み合わせることで克服し、ほぼ全天にわたる高解像度の観測ができるようになったそうです。
先月15日午前7時過ぎ、ハワイ島北西部沖で起きたマグニチュード6・7の地震で、支柱がずれるなどの影響があった「すばる望遠鏡」ですが、そんなことを打ち消すような朗報となっています。
◎すばる望遠鏡
ホームページ:www.subarutelescope.org