55年ぶりという長雨
日本は今日から春4月ですね。というのに、楽園ハワイは今、諸島の近くに低気圧の前線が停滞し、さながら日本の梅雨のような様相を呈した異常気象となっています。
もう6週目に入った、実に55年ぶりという長雨。天然のクーラーといわれる心地よい貿易風も吹かず、うんざりしているのは住民だけではなく、ハワイの青い海や澄んだ空を求めてやって来た観光客の方たちも、まさかの連日の雨にガッカリという様子。地元テレビの報道では、すでにハワイの1年分に近い降雨量に達しているそうです。
それだけではありません。カウアイ島では豪雨によりカロコ・ダムの決壊という惨事を招き、死傷者や行方不明者まで出てしまいました。連日の大雨のため、各地で落石事故や交通事故も相次いでいます。ワイキキのカラカウア通りでは一部が冠水して一時閉鎖となったり、観光名所で知られるタンタラスの丘ではダンプカー約50台分の土砂崩れでたびたび道路が不通になりました。
もっと深刻なのが、先週の金曜日(24日)にワイキキのカイオル通りの地下に埋設してある直径約1mのコンクリート製下水管の継目部分にヒビが入り、未処理の下水が大量にアラワイ運河へ流出したこと。すでにホノルル市の作業員が約3m掘り下げて、トラック3台分のコンクリートで割れた部分を修復したのですが、この工事が完了するまでの間、ポンプですべての下水をアラワイ運河に放出したことです。市の担当者は「下水を運河へ放出することへの不安は分るが、これ以上の災害を防ぐには、残念ながら他に方法がない」とコメント。結局、4800万ガロン以上の未処理の下水が、アラワイ運河だけなく、きれいなアラモアナビーチやマジック・アイランド、アラワイ・ヨット・ハーバー、ワイキキビーチなどを汚染してしまい、州衛生局が遊泳禁止のサインを各所に立てています。
いつ終わるとも知れない長雨という悪天候に加え、ハワイの自然や暖かい気候を求めて訪れた多くの観光客は、ビーチに足を踏み入れられず、プールの水は冷たいという状況に失望感を隠せないようです。また、ワイキキの住民や観光客への健康面への影響も懸念されはじめています。食物連鎖する魚介類は果たして食べても大丈夫なのでしょうか? われわれが考える以上に、懐の深い、母なる海の自浄作用に期待するしかないのでしょうか?